鳥笛


以前、関東にいた頃、路上で街売り
(露店でアクセサリーなどを許可なく売ってるヒッピー)
をしていた時に、向かいの自転車屋のオヤジが
"笛を作れ"と言うんだ。"いつも身につけておけるヤツ"をってね
阪神淡路地震の時に瓦礫に埋もれて亡くなった人が沢山居た話をしてきてね
声も出せず死んで行った人の事を考えさせられたんだ
分かりましたと言ったよ
またある時しばらくして同じ所で街売りをして居たら又、オヤジが来て
"笛を作ってないじゃないか"といわれたんだ
ボクは作ろうと思っていたんだけど、、
どういうのを作ろうか考え続けてたんだ
そういうのって、作ろうと思ってすぐにできないんだよ
何か閃くコトが必要なんだよ。でもボクはソレから努力したよ
そして"ひょうこま"(越冬キャンプ)中に鳥の声を聴くように成ったんだ
それはそれは綺麗な声で夜にテントの上を低空飛行で
"ヒョーピ ヒョーピ ヒョーピ"と鳴きながら飛んで行く鳥が居てね
その鳥とコミュニケーションが取りたいと思ったんだ
よし、そうだ!この声の笛を作ろうと思ったよ
小枝に穴を開け切り出しナイフでやるんだけど
相当苦労したなぁ、ピとヨの2つの音が出したかったしね
遠くの鳥に届くように強く吹いても鳴るようにもしたかったんだ
綺麗な音が出ない理由が全く分からないんだ
たまには、簡単に綺麗な音が出る事もあるんだ
モノはシンプルなのに原因が分からないんだよ
綺麗な音が出た時は"わかったぞ‼️"って、思うんだけどね
しばらくはその繰り返しだったな、100ヶ作って半分はダメとかね
ダメなやつも直そうと頑張れば頑張るほど泥沼にハマったりね
結局、マキストーブに捨てる笛が貯まってね。
自分のコンディションが良い時がいい笛が出来るのか?
出来が悪いからコンディションが悪いのか?なんて考えてしまったりね
今は、百発百中だよ。でもその中で
ちょっとでも気に入らないのは捨てる様にしてるんだ
プロ意識ってやつだね
そうそう、いま話してるのは桜の鳥笛で
その後に竹の鳥笛も作り出したんだ
竹の鳥笛は音域が広くて音階も出せるんだよ
ボクは竹の方が好きなんだ、技が使えるよ音域が広いからね
どちらも首から吊るせる様に紐も作るんだけど
ナイロンの紐をいくつかに裂いて2色でヨリ直してるんだ
子供が首から下げていて
もしも、どこかに引っ掛けてしまった時の事を考えたら怖くなってね
それで細いのを作ったんだけど、、
それでも心配で細いシノ竹を斜めに薄く切って
それが割れて難を逃れるという
"安全クラッチ"を入れてるんだよ
桜の枝や竹を確保する季節とか方法とかは
また今度あった時にでも話すからね
あぁそれと、、お祭りの時とかショッピングモールとか
大きな声で友達を呼ぶ時とか
お母さんが子供を呼ぶ時とか
暗闇の中で彼女を探す時とか合図を決めておくと便利だよ
ボクはポチをコレで呼ぶんだ、ポチは必ず帰ってくるよ
君の彼女が帰って来るかどうかは分からないけどね

鳥笛(左:桜)鳥笛---円(税込)
(右:竹)鳥笛---円(税込)

吉田ケンゴの世界